これまで医師・教師・宗教家等は聖職者として、国民から尊敬の念を持って扱われてきた。しかし、時代の移り変わりと並行するように、全体の率としては少ないが、様々な事件事故を引き起こし新聞紙上を取り上げられるようになった。その結果、聖職者に対する国民の意識の変化同様、法律も「性善説」から「性悪説」へと舵を切り出している。医療の分野では医療機関及び医師に対してその厳しさが一層高まっている。
厚労省では、「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」を設置し、2008年4月に「医療安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等のあり方に関する試案」(第三次試案)が出されたのに続き、同年6月には「医療安全調査委員会設置法案大綱案」が発表された。
その中では、「故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例」について捜査機関への通知を行うとされていることから、これに反発する意見が多い。医療者側の反対の理由は、「故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例」の具体性が見えないことである。
さらに、医療は人の命に関わることが日常的であり、常に不確実性をもっている。医療事故(トラブル)を刑事事件として扱うこと自体が妥当でないとしている。この意見の背景は、診療に関わる死亡に関して届けをし、それが事故等であるかないかを第三者委員会が資料をもとに精査する。結果、故意や過失があると判断すれば告発もし、告発案件でないと判断しても、遺族からの要望や訴訟に発展すると、警察に資料として提供しなければならないというものである。
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